《おれの今までの生涯で、今日程苦しい日はなかった。》というその日。想像はつくが、手応えある記憶はない。その前日、同年の森本光明君遭難の報せが届いている。その数日前、体格のいい寮外生とのいつものコンビで大きなリュックを背負って出てゆくのを見送った。寮の南の細道を駅に向かって行ったその後ろ姿の記憶が今もはっきりある。一年間に寮生二人を送ることになった。(前年6月、青戸知巳氏)

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